「AGAの治療薬は種類が多すぎて、どれを選択したら良いのか迷ってしまう」という悩みを抱えていませんか?
結論から申し上げると、AGA治療薬ならどれを選んでも薄毛に対して一定の効果が期待できます。ただし、症状の進行具合や目的、予算によって選択する薬を変えることが、理想的です。そのため、まずは治療薬それぞれの特徴や違いについて理解しておきましょう。
この記事では、AGAの治療で使用される主な治療薬の特徴や注意点を、初学者でも分かりやすいように解説していきます。
- AGA治療薬の種類
- 具体的なAGA治療薬の効果
- 治療薬を服用する際の注意点
この記事を最後まで読み進めれば、AGA治療薬の具体的な効果から注意点まで詳しく知ることができます。ぜひ最後まで読み進めてみてください。
目次
AGAの治療薬は大きく分けて2種類
AGAの治療薬は目的別に以下の2種類が存在します。
- 発毛を促進する治療薬
- 抜け毛を予防する治療薬
簡単に言い換えると、これ以上抜け毛を増やさないための治療薬と、今以上に髪の毛を増やすための治療薬に分けることができます。それぞれの治療薬について詳しく見ていきましょう。
発毛を促進する治療薬
発毛を促進する治療薬は、いわば攻めのスタンスで用います。具体的には、髪の成長因子を増やし、単純に毛髪数を増やすことが目的です。他にも髪を太くすることで抜けにくくなり、ボリュームを多く見せる効果があります。
発毛を促す治療には、頭皮に直接塗布するミノキシジル外用薬が一般的に用いられます。ミノキシジル外用薬が発毛を促進する仕組みを簡単に解説していきます。具体的なメカニズムは以下の通りです。
発毛を促進する治療薬は、髪の成長因子に直接アプローチすることが特徴です。増毛を積極的に促すため、攻めの治療薬と言い換えられて表現されます。
抜け毛を予防する治療薬
発毛を促進する治療薬が攻めの治療だとすれば、抜け毛を予防する治療薬は守りの治療です。具体的な働きの特徴は、5αリダクターゼの働きを阻害し、ジヒドロテストロンを発生させないこととなっています。
とは言われても、いまいち理解しづらいですよね。抜け毛を予防する治療薬の働きを簡単に理解するためには、そもそもの抜け毛のメカニズムを知る必要があります。髪の毛が抜ける仕組みは、以下の通りです。
テストステロンが5αリダクターゼと結びつくことが、抜け毛の大元です。ここでもう一度、最初の説明を思い出しましょう。抜け毛を予防する治療薬は、5αリダクターゼの働きを阻害し、そもそもジヒドロテストロンを発生させないことが特徴でしたね。
つまり、抜け毛を予防する治療薬は脱毛の要因を根底から打ち消すことが主な働きです。事前に抜け毛の元凶を断ち切れることが、守りの治療と言われる所以となっています。
発毛を促進するAGA治療薬の種類
発毛を促進するAGA治療薬には、主に3つの種類があります。それぞれの治療薬の概要は、以下の通りです。
治療薬名 | 主な成分 | 特徴 |
---|---|---|
ミノキシジルタブレット | ミノキシジル | 血流が改善されて頭皮の隅々に栄養が行き渡る。髪の成長因子も増加させる治療薬。※服用推奨度は低い |
ロゲイン | ミノキシジル | 毛髪の生成を促すミノキシジル成分が含まれている。直接頭皮に塗布して揉みこむ治療薬。 |
アロビックス | 塩化カルプロニウム | 血流を促進することで発毛を促す治療薬。 |
それぞれの治療薬について、詳しく解説していきます。
ミノキシジルタブレット
ミノキシジルタブレットは、飲む薄毛治療薬になります。もともとミノキシジルは血圧降下剤として開発されましたが、のちに発毛作用が認められたため、現在は薄毛治療薬として使用されるようになっています。
ミノキシジルには血管拡張作用があるため、血流が改善されて頭皮の隅々に栄養が行き渡るようになります。また、内服薬であるため成分が血液に吸収されやすく、毛根までムラなく有効成分を届けることが可能です。結果的に、髪の成長因子を増加させることも可能になります。
AGA治療に係る主なリスク
AGA治療は男性ホルモンに影響を及ぼす特徴があるため、治療中は献血できず、不妊治療に悪影響を及ぼす可能性があるため注意しましょう。
献血できなくなる
AGA治療中の献血は厳禁です。AGA治療薬の成分が含まれる血液が、未成年者や女性に輸血されるのを防ぐためです。
プロペシアやザガーロなどの内服薬は、女性にとって禁忌薬になっています。服用することはもちろん、経皮吸収されるため触れることもできません。
特に妊娠中の場合、胎児のホルモンに影響を及ぼす危険性があります。
そのため、プロペシアは最低1カ月、ザガーロの場合は最低3カ月は服用しない期間をつくる必要があります。
不妊治療に悪影響を及ぼす可能性がある
胎児に悪影響を及ぼす可能性が低いことは、海外の臨床試験で証明されています。
しかし、可能性がまったくないとは言えないため不安に思う方もいるでしょう。そのため、不妊治療中のように精神的な安定が必要な時期は、献血時と同様に治療薬を服用しない期間を設けることをおすすめします。
AGA治療に係る副作用
プロペシアやザガーロ、ミノキシジルなどのAGA治療薬にはそれぞれ特有の副作用が存在します。
副作用や不安感が強く出る場合は、医師と相談しながら治療を行いましょう。薬の量を減らしたり薬の種類を変えたりすることで、症状が軽くなることがあります。
具体的には次のような副作用が確認されています。
倦怠感や食欲不振
内服薬の服用で、倦怠感が出たり食欲が減少したりするなどの副作用が出ることがあります。
服用した薬が肝臓で処理されることで、肝臓に負担がかかるためです。そのため、治療前や治療中に診察だけでなく健康診断を行っているクリニックも多いです。
また、ミノキシジルによる血圧の変化がだるさを誘発することもあります。
肝機能障害
肝臓に持病がある場合、肝機能障害が副作用として出てしまうことがあります。ただし、プロペシアの服用で副作用が出る確率は、たいへん低くなっています。
肝臓に持病を抱えている方に限らず、この点について心配な方は、診察時に医師とよく相談することをおすすめします。
性欲の減少
内服薬のプロペシアやザガーロは男性ホルモンに影響を与えている可能性があることから、性欲の減少も副作用としてみられます。
勃起不全
内服薬の服用で勃起不全(ED)の副作用が出る可能性もあります。性欲の減少と同様に、AGA治療薬が男性ホルモンに影響を与えることが原因です。
ただし、EDの発症は薬以外にも様々な原因が考えられます。以前からED気味だったりストレスが多かったりする場合、EDになりやすいといえるでしょう。
また、AGA治療でEDになるという思い込みや不安が副作用を引き起こすことがあります。実際に、ザガーロと偽薬で副作用が出る確率を比較した結果、ほとんど差がないことがわかっています。
ED治療薬もあわせて処方しているクリニックもあるため、不安な方は相談してみましょう。
全身の多毛症
ミノキシジルを使用することで、頭髪だけでなく全身の体毛が濃くなることがあります。濃くなる部位は顔や胸、腕、脚など全身に及び、外用薬よりもミノキシジルの内服のほうが症状が強く出る傾向にあります。
治療中は多毛症の症状が続きますが、濃さには個人差があります。
治療しながら症状を抑えたい場合は、脱毛するなどの対処が必要です。
立ちくらみやめまい
ミノキシジルの影響で血圧が低下することで、立ちくらみやめまいが起きることがあります。
AGA治療の初期段階で起こりやすい副作用です。そのため、治療を続けていくと徐々に収まってくるでしょう。
症状が軽くならない場合は、ミノキシジルの濃度を低くしたり塗布を中止したりします。
頭痛
ミノキシジルの影響で頭痛が起きることがあります。これは、ミノキシジルの持つ血管拡張作用によって神経に血管が当たるためです。
頭痛が強く出る場合、吐き気を催すケースもあります。その場合、自己判断で鎮痛剤を飲む前に医師に相談するようにしましょう。
頭皮のかゆみやかぶれ
外用薬を頭皮に塗布することで、かゆみやかぶれ、赤みが発生することがあります。外用薬が肌に合わないこと以外にも、習慣が変わったことで一時的に起きることがあります。
また脂漏性皮膚炎が悪化することで、強いかゆみが発生するケースもあります。脂漏性皮膚炎は健康な髪の生育を阻害する原因になるため、外用薬の種類を変える、使用を控えるなどの対処が必要です。
クリニックによっては、AGA治療中の頭皮環境を整えるために薬用シャンプーやコンディショナーを処方しているところもあります。
手足のむくみや体重増加
ミノキシジルの副作用でむくみが発生することがあります。外用薬の塗布よりも内服で起きやすい副作用です。
ミノキシジルの血管拡張作用によって血流が増えるものの、血液を戻す力はほとんど変わらないことからむくみが起きます。腎臓の負担が増えることでむくみが出る原因も考えられます。
むくみが起きる部位は全身ですが、顔や手足が目立ちやすいでしょう。
また、このむくみの症状から体重の増加が起きると考えられています。
動悸や息切れ
ミノキシジルの外用や内服で動悸や息切れが起こることがあります。
ミノキシジルを体内に取り入れることで心臓への血流量が少なくなり心臓の酸素量が減少すると、同時に肺の負担が増えます。その結果、動悸や息切れなど循環器系の副作用が発生してしまいます。
動悸によって胸痛や不整脈を引き起こす場合もあります。
症状が収まらない場合や強く出てしまう場合は、外用薬や内服の容量を減らす、内服をやめるなどの対処が必要です。
ロゲイン
ロゲインは、マクニール・ラボラトリーズが開発した頭皮に塗るタイプの治療薬です。朝晩2回、直接頭皮に塗布して揉みこんで使用します。ロゲインに含まれるミノキシジル成分が、頭皮に浸透することで毛髪の生成を促す働きがあります。
1980年代にアメリカのFDA(食品医薬品局)により認可を受け発売されました。
通常、治療開始から6ヶ月で効果が出ると言われており、じっくりとした治療が必要です。ただ、髪の毛が徐々に太くなりボリュームを増す効果は比較的早く感じられるでしょう。
AGA治療の期間及び回数
AGAの治療期間や時間ごとの変化には個人差があります。
治療の内容と効果を観察し、医師と相談しながら治療を進めていきましょう。
治療期間は個人差がある
治療期間は、症状や目的によって3~12カ月と個人差があります。
基本的にAGA治療は、ヘアサイクルを改善し、もとの健康な髪を増やすことが重要なため長期的に考える必要があります。
特に薄毛が進行していて、しっかり発毛させたい場合は1年、2年と治療期間が延びるケースも少なくありません。
また、理想の密度を達成した後も予防目的で治療を継続することがあります。その場合、薬の種類を変えたり服用する量を減らしたりします。
時間ごとの変化
AGA治療を始めて効果が出る場合の一般的な時間ごとの変化は次のようになります。
AGA治療を開始してから1カ月後までは、ほとんど変化は実感できないでしょう。ここで何も変わらないからといって、薬の服用をやめないように注意してください。
治療開始後1カ月を過ぎると、徐々に抜け毛が増えてくるため薄毛の進行が加速していると思われがちです。
しかし、抜け毛の原因は治療薬の働きによってヘアサイクルが正常になる過程で、細く短い髪の毛が抜け落ちる初期脱毛のため問題ありません。むしろ治療効果があらわれている証拠でもあるため、ここで治療をやめないようにしましょう。
そして治療開始から4~6カ月からは、髪の密度が高くなったり髪の毛が太くなったりするのを実感します。
この段階に至っても何も変わらない場合には、治療の中止や治療方法の変更を検討する余地があるでしょう。
クリニックによっては、マイクロスコープを使って経過を詳しく観察します。治療の辞め時や予防への切り替えなど、医師と相談しながら進めていくことが大切です。
治療回数
AGA治療は患者が納得するまで継続されます。その間、基本的に内服薬は1日1錠服用し、外用薬は1日2回頭皮に塗布します。
通院ペースは処方される治療薬の量によって異なります。30日分の治療薬を処方するクリニックが多いですが、90日分処方してくれるケースもあります。
オンライン診療を行っているクリニックでは通院する必要がなく、1~3カ月ごとにテレビ電話やスマートフォンのアプリなどで診察を受けます。
またメソセラピー施術を並行して行う場合は、2~4週間に1回のペースで通うことになります。
アロビックス
アロビックスは血流を促進することで発毛を促す治療薬。他の治療薬と違い、ミノキシジルではなく、カルプロニウム塩化物が5%含有されていることが特徴です。カルプロニウム塩化物の効果は、血管拡張作用であり血流を促進してくれます。
ミノキシジルとの違いは、単純に血管を拡張しているだけで、髪の成長因子を増殖させるものではないということです。そのため、アロビックスの作用は、ミノキシジル系の治療薬と比較して控えめとなっています。
ちなみに、カルプロニウム塩化物は、日本皮膚科学会 男性型脱毛症診療ガイドライン(2010年版)によって、有効性が実証済みです。ただ、皮膚過敏症状があらわれたり、過剰な発汗や悪寒が発生したりする場合があります。服用の副作用には注意が必要です。
抜け毛を予防するAGA治療薬の種類3選
守りの治療となる、抜け毛を予防するおもなAGA治療薬は以下の通りです。
治療薬名 | 主な成分 | 特徴 |
---|---|---|
ザガーロ | デュタステリド | ジヒドロテストステロン(DHT)の生成を強く抑えることができる。 |
プロペシア | フィナステリド | 費用が安く副作用のリスクが低いため、最初の治療として使用されやすい。 |
アボルブ | デュタステリド | ザガーロと効果は同じだが、そもそもAGAの治療薬ではなく前立腺肥大症のための治療薬。 |
それでは、それぞれの治療薬について詳しく見ていきましょう。
ザガーロ
ザガーロは、抜け毛の原因であるジヒドロテストステロン(DHT)の生成を強く抑える治療薬です。ザガーロには、デュタステリドと呼ばれる成分が含まれています。デュタステリドは、フィナステリドと同じく抜け毛抑制の効果があります。
デュタステリドとフィナステリドには以下のように異なる点があります。難しい内容ですので、参考程度にお読みください。
- DHTの変化の原因には、5α還元酵素が大きく関係している。
- 5α還元酵素にはI型とII型が存在する
- フィナステリドがI型のみ有効なのに対し、デュタステリドはI型とII型の両方に有効
5α還元酵素のI型,II型ともに有効なデュタステリドが含まれるザガーロは、DHTの生成を強く抑える効果が高いことが分かります。ただ効果が高い分、副作用のリスクも高いことが実証されています。特に、以下の方は服用できませんので注意が必要です。
- 女性
- 未成年
- 肝機能に障害のある方
プロペシア
プロペシアは、フィナステリドを配合している治療薬です。デュタステリドと同じく、ジヒドロテストステロンの生成を抑制して、脱毛を防ぐことができます。
前述した通り、II型5α‐リダクターゼのみを抑制できる治療薬であるため、I型・II型の両方を抑制できるザガーロとは期待できる効果が異なります。ただ、ザガーロに比べてコストが低い点や副作用のリスクが低い点がメリットです。費用面と副作用を鑑みて、はじめにプロペシアによる治療を開始し、状況を見てザガーロに移行するケースが多くなっています。
プロペシアは飲み始めて大体3ヶ月程度で効果が現れますが、毛髪量の変化を実感するまで、6ヶ月程度かかります。根気強く継続して服用することが重要です。
アボルブ
アボルブはザガーロと同じく、デュタステリドを主成分として含む治療薬です。そのため、ジヒドロテストステロン(DHT)の生成を抑える効果は変わりません。同じ成分、同じ効果があるため、抜け毛予防の効果は期待できるでしょう。
ただし、アボルブは前立腺肥大症のための治療薬であるため、そもそもAGA治療を目的で服用することは認可されていません。服用して、万が一副作用の健康被害があっても、医薬品健康被害救済制度が受けられないので注意しましょう。
AGA治療薬の種類を選ぶときの注意点
AGA治療薬を用いた治療には、注意すべきポイントがあります。主な注意点としては、以下の2点です。
- 自分の体質に合った治療薬を選ぶこと
- 副作用について事前に調べてから選ぶこと
それでは詳しく解説していきます。
自分の体質に合った治療薬を選ぶ
1つ目の注意点は、自分の体質にあった治療薬を選ぶことです。AGA治療薬は臨床実験を重ねて、安全性を担保した上で販売されています。そのため、体質によっては思わぬ被害を及ぼす可能性があります。
例えば、大きな持病を患っている方は、身体が弱っていることで通常時よりも余計に体に負担がかかる状態です。身体が弱っている状態で治療薬を服用すると、重篤な副作用を発症する場合があります。
また、注意したいのがアレルギーです。特に、頭皮に塗布するAGA治療薬の場合は、薬剤アレルギーによって、頭皮にかゆみが発生します。かゆみが発生すると、爪を立ててかいてしまいがちであり、頭皮環境が乱れることで薄毛をさらに悪化させることもあるのです。
そのため、まずは健康体であること、そして自分自身がアレルギー持ちであるかを鑑み、自分の体質に合った治療薬を選ぶことが重要です。この判断は、個人で行うのは難しいため、クリニックに相談することをおすすめします。
副作用について事前に調べてから選ぶ
AGAの治療薬の場合は、性欲減退、勃起不全、肝機能障害などの副作用が発生する可能性があります。また、発毛効果のあるミノキシジルで発生する代表的な副作用は、以下の症状です。副作用があるという点はきちんと理解しておきましょう。
- 頭痛
- 胸痛
- 動悸・息切れ
- 立ちくらみ
副作用が懸念される場合、医師に相談すれば以下の判断が行われます。
- 治療薬の量を変える
- 治療薬自体を変える
- 治療をやめる
これらの判断は、個人で判断するのは難しいものです。AGAに特化したクリニックに相談することをおすすめします。
治療薬を服用するなら病院で処方してもらおう
本記事では、AGAの治療に使用される治療薬の種類や効果、注意すべきポイントを解説してきました。記事の内容を要約すると、以下の通りです。
AGA治療薬の服用は副作用のリスクを鑑みると、必ずしも安全とは言い切れません。そのため、自分で服用を判断するのではなく、病院を受診してから処方してもらうことをおすすめします。薄毛が気になっていて治療薬を服用したいなら、一度、クリニックに相談してみましょう。
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